夢1
5階から6階に階段で上がれない。
原因は精神的な問題だった。
踊り場を過ぎて十数段、ふと左を見ると、5階から踊り場までの階段が酷く遠くに見えた。
その瞬間もうだめだった。身体は恐怖に支配され、私はその場にへたり込んでしまった。
身体は震えていたが、なんとか這い蹲ったまま後ろ向きに無様に階段を降りた。
周りを見ると、あったはずの天井や壁は無くなっていて、青空が見えており、手摺も酷く低い位置にある。
なけなしの勇気を振り絞って、もう一度登ろうとしたら、数段登ったところで後ろにひっくり返ってしまった。
そのまま倒れ続けたら死んでしまう。
そんな感情でいっぱいになった私はその瞬間、目覚めなければ、と思った。
この瞼を開けて、倒れゆく不安と落下への恐怖を解消しなければと。
そう、つまり私は最後の最後にこれが夢であると判じることができたのだ。
そうして目覚めると、私はベッドに腰掛けたまま後ろに倒れた状態、つまり夢の中の今まさに倒れゆく私と同じ格好をしていたのだった。